業界構造・契約と働き方・開発工程・会社の立ち位置まで、
就活前に押さえておきたい基礎知識をすべて解説します。
IT製品で、まず思いつくのはスマホアプリでしょうか?
スマホアプリはIT業界全体で見ると比較的少なく、皆さんの知らないシステムが多くあります。
システムの特性からIT業界は大きく2つの側面に分けることができます。
※ IPA「IT人材白書」(現・DX白書)等を参考にした市場規模・雇用者数ベースの概算です。IT人材白書は2020年で終刊し、現在はDX白書・デジタル時代のスキル変革等に関する調査として継承されています。日本のIT業界は歴史的にSIer・エンタープライズ系が大きなウェイトを占めており、近年は価値創造系(Web・SaaS)の比率が拡大しています。
IT業界はデスクワークですが、所属会社のオフィスでないケースがあります。
働く場所をイメージするためにIT業界の「契約」についてみてみましょう。
この契約によってどこで・どのように働くかがおおよそ決まります。
IT会社は1社で製品を作っていると思っていないでしょうか?
そのような会社もありますが、もっと複数の会社が関わっていることがほとんどです。
実は、IT業界の会社は大きく ①自社開発企業 と ②それ以外(SIer・受託・SES) に分かれます。
自社製品を持ち、社員が一貫して担う。
チーム全員が同じ会社の社員として動く。
発注元から仕事が流れ、複数社で開発する。
IT製品を作るには様々な工程があり、標準的な開発の流れはV字でよく表現されます。
V字の左側から降りる工程が作る工程↘、右側の上がる工程が作ったものを確認する工程↗です。
IT職はプログラミングの画面を見るイメージだと思います。
しかし、そのような作業は開発工程の一部です。
皆さんも知っているExcelを利用する場面も多いということを是非知ってみてください。
| 工程 | 担当者 | 主な動き | 考え方のポイント |
|---|---|---|---|
要件定義 ▲上流 |
🧭 コンサル・PM | 🔧 利用ツール:Word・Excel 顧客担当者と会議を繰り返し、「やりたいこと」を整理して文書にまとめる システムが「何をするか」「どんな条件で動くか」の一覧を作成し、後工程の設計・テストの基準とする |
「なぜそれが必要か?」を常に問う。ビジネス目的とシステム仕様の一致が最優先 |
基本設計 ▲上流 |
📐 SE(上流) | 🔧 利用ツール:Excel 画面の構成・データの流れ・他システムとの連携方法を決め、文書にまとめる 顧客レビューを経て承認を得る |
「この設計で全員が同じイメージを持てるか?」後工程の手戻りをなくすことが鍵 |
詳細設計 ▼下流 |
📋 SE◆新卒 |
🔧 利用ツール:Excel 「ボタンを押したら何が起きるか」「条件ごとに処理がどう変わるか」というフローチャートを作成する プログラマーが迷わず実装できるレベルで文書にまとめる |
「この文書を渡せば質問ゼロで実装できるか?」があいまいな表現を排除する基準 |
実装 ▼下流 |
⌨️ プログラマー◆新卒 |
「読みやすく・変更しやすいコードか?」動けばOKではなく、後から修正しやすい構造を意識する | |
単体テスト ▼下流 |
🔬 プログラマー◆新卒 |
🔧 利用ツール:VS Code・Excel 「このボタンを押したらエラーが出ないか」「この値を入れたら正しい結果が返るか」という確認項目を表にまとめ、実際に動かして結果を記録する 不具合が出たら内容と再現手順を記録し、修正→再確認を繰り返す |
「正常系だけでなく異常系も試せているか?」境界値・ゼロ・特殊文字など壊れそうなケースを意図的に試す |
結合テスト ▼下流 |
🔍 テスター◆新卒 |
🔧 利用ツール:Excel 「ログイン→商品選択→決済」のように複数の画面をまたいだ一連の流れが正しく動くか手順通りに確認し、不具合はスクリーンショット付きで記録して開発者へ連絡する |
「ユーザーが実際に使う流れを再現できているか?」業務フローを通しで確認する |
総合テスト ▼下流 |
✅ テスター・SE | 🔧 利用ツール:Excel 「要件定義で決めた通りにシステム全体が動くか」を本番に近い環境で全機能を通しで確認し、結果を報告書にまとめて顧客へ提出する 大量アクセス時の応答速度やセキュリティの確認もこの工程で行うことが多い |
「顧客が最初に言っていたことをシステムが本当に満たしているか?」当初の要求との突き合わせが最重要 |
保守・運用 ▼下流 |
🖥️ SE・オペレーター◆新卒 |
「何が起きても落ち着いて手順書通りに動けるか?」障害は必ず起きると心構えし、素早く正確な初動が信頼につながる |
年収・雰囲気・仕事の動き方を立ち位置ごとに比較します。
※ 年収はあくまで3年目の目安です。特に地域による差が数百万単位で異なり、企業規模・個人評価でも大きく変動します。以下の数字は、IPA・厚生労働省・主要転職市場調査などの資料を参考にした一般的な傾向として捉えてください。
| 項目 |
自社開発
(Web/SaaS) 自社内勤務
新卒:少ない(競争率高め)
|
SIer
(元請け・大手) 自社多め
新卒:比較的少なめ
|
受託開発会社
(下請け・中小) 自社 or 客先
◆ 新卒採用が多め
|
SES企業
客先常駐多め
◆ 新卒採用が多め
|
|---|---|---|---|---|
| 💰 年収 | 400〜550万円 |
350〜500万円 |
300〜420万円 |
280〜400万円 |
| 🔄 動き方 | 企画→実装→リリース→改善のサイクルを自社メンバーと回す。短いサイクルで機能を追加・改善しながら開発を進めるスタイルが多い。 | 顧客との要件定義・設計から担う。複数の下請けを束ねてプロジェクトを管理するPM役割も担う。 | 元請けから降りてきた仕様書を元に実装・テストを担当。指示された範囲をこなすことが多い。 | アサインされた現場ごとに環境が変わる。技術スタックもプロジェクト次第。 |
| 🏢 雰囲気 | フラット・少人数チーム。チャットツール中心のオープンな議論文化。フレックス・リモート多め。 | 階層型・ロール分担が明確。メール・会議が多め。大規模経験・マネジメントスキルが身につく。 | 現場(客先)の文化に依存。実装量が多く実務スキルが速く伸びる。 | 現場文化に依存。多様な現場経験で適応力がつく。自社への帰属感は薄め。 |
| 🙋 合う人 | 自分でサービスを育てたい人。技術で評価されたい人。 | 社会インフラ規模のシステムに携わりたい人。安定した環境でマネジメントも視野に入れたい人。 | 幅広い業種・規模のプロジェクトを経験したい人。まず手を動かしてスキルをつけたい人。 | 短期で多種多様な技術・業種を経験して市場価値を高めたい人。 |
| ⚠️ 注意点 | 成果が直接問われる。スキルが追いつかないと厳しい評価も。 | 顧客折衝・調整業務が多く、コードより調整の比重が高まることも。 | 仕様変更のあおりを受けやすい。中間マージンで収入も下がりがち。 | 単価が上がらないと収入が停滞しやすい。待機中の給与保証有無は企業によって異なる。 |
職種ごとにどのようなキャリアを歩むかをまとめました。
※ 以下は一般的な例です。企業文化・プロジェクト・個人の適性で実際のキャリアは大きく異なります。
この資料で登場した用語をまとめました。知らない単語はここで確認しましょう。